公立で働く保育士の会計年度任用職員|ひどい現状と知っておきたい3つのポイント

公立の保育所で働くパートは「会計年度任用職員」です。
令和2年度から導入された会計年度任用職員制度で採用された非正規公務員の呼び方です。

これが今、公立保育所で働くパート保育士の間で困ったことになっています。

毎年、履歴書を出したり面接をしたりして「採用しなおす」更新手続きは本当に面倒!

ボーナスが出るって言っても、時給が下がったよね…。

今、公立の保育所で何が起こっているのか。
これから公立の保育所にパートで働こうと考えているなら、会計年度任用職員として働くポイントをおさえておきましょう。

会計年度任用職員のひどい現状

会計年度任用職員制度とは、令和2年度から導入された非正規公務員の採用方法です。

雇用の機会を均等にしましょうとい名目で始まったこの制度。保育士にもボーナスや退職金の支給があり、まるで好待遇になるように見えていました。

給料が下がった?

しかし実際にはボーナスを支給するために時給を下げているところが多く、収入が以前より下がった人も少なくありません。

退職金も支給対象にならないよう、ほとんどの保育士が退職金の支給条件をギリギリ下回る雇用契約にされています。

ボーナス・退職金の支給条件
  • フルタイムパート (週37時間45分以上勤務)
    ………ボーナス・退職金ともに支給
  • パートタイム (週37時間45未満勤務)
    ………ボーナス支給・退職金は支給対象外

更新の手続きが面倒!

会計年度任用職員になると、翌年への自動更新はありません。
その都度、採用しなおす手続きが必要になります。

履歴書を出し直して面接をする自治体もあり、以前より面倒な手続きが必要になってしまいました。

長期で働ける保証がない?

基本的に採用は1年まで。それ以降は再任用しても3年まで。
3年後も働いていられる保証が無くなってしまった※のです。

※ 2022年3月現在、再任用を5年にする動きもあります。ただし民間のように5年働いて無期雇用になることはありません。

会計年度任用職員制度は総務省がガイドラインとして出されたもので、必ず守らなければならないルールではありません。
しかし、全国ほとんどの自治体が採用しています。

会計年度任用職員制度の3つのポイント

分かりにくい制度なのでもう少し詳しく見ていきましょう。

会計年度任用職員制度を理解するためにおさえておきたい主なポイントは次の5つです。

  1. ボーナス・退職金の支給基準
  2. 公務員規律の適用
  3. 1年ごとの採用(更新に制限)

1,ボーナス・退職金の支給基準

会計年度任用職員になると『ボーナス』と『退職金』が支給されますが、以下の条件を満たす必要があります。

ボーナス・退職金の支給条件
  • ボーナス…6か月以上の任期があり週15時間30分以上勤務のパートタイムとフルタイム
  • 退職金…6か月以上の任期があり週37時間45分以上勤務のフルタイム

先にもお話ししましたが、これは一見するとお給料が上がるように見えますが、保育士の会計年度任用職員の給料は全体的に下がっているのが現実です。

ボーナス分を考慮して時給が下がったせいで、だいたい半分くらいの自治体でトータルの収入が下がったといわれています。

公立の時給が下がった流れで、私立保育園の時給も下がった自治体もあるみたいよ。

2,公務員服務規律が適用

会計年度任用職員には、正規職員と同じように『公務員服務規律』が適用されます。

会計年度任用職員の応募用紙には、裏面に「地方公務員法第16条に定める欠格条項」がしっかり記載されています。

正規職員と同じように懲罰も課せられて、今までより厳しくなるんですね。

とはいっても普通に悪いことをしなければ心配することはないですよ!

3,1年ごとの採用(更新の制限)

制度上、1年で任期満了になり、自動更新はありません。

翌年も働く場合は採用しなおす必要があります。
そのため、自治体によっては

  • 履歴書の提出
  • 採用面接
  • 選考

など、面倒な手続きが必要なところもあります。

また同じ職場で働く再任用には限度があり、原則最大3年までとなっています。3年後に同じ職場で働ける保証がない、不安な制度ですね。

この制度、保育士のような専門職が短期間で入れ替わるので、職場にとっても仕事に支障がでる悪い制度ではないかと思います。
自治体によっては再任用を最大5年※としているところも出てきているので、今後変わっていくかもしれません。

※ ただし民間のように5年働いて無期雇用になることはありません。(2022年3月)

まだ始まって間もない制度なので、今後の動向に注意が必要ですね。

公立保育所のメリットは?

保育園

会計年度任用職員制度になって、公立保育所が悪いところばかりになってしまったようですが、もちろん良いところもあります。

公立保育所は市町村の保育を運営する部門が管理をしていて、園長(所長)にも異動があります。
人が大きく入れ替わるので、園長のタイプによって園全体の雰囲気がガラッと変わることも。

一方、私立保育園では姉妹園の間で異動があったとしても、経営者の影響が大きくて良くも悪くもあまり変化はありません。

ブラックの率が高いのは私立保育園です。

人間関係に耐えられずに退職する人が多い保育士には、人事異動による変化が期待できる公立保育所の方が働きやすい職場と言えるかもしれません。

こちらの記事もぜひ参考にしてください。
公立保育園と私立保育園の違い

会計年度任用職員になるには

求人情報を見て会計年度任用職員という馴染みのない言葉が出てくると、ちょっと抵抗があるかもしれませんね。
でも応募自体はそれほど難しくありません。

求人は各自治体のホームページと、ハローワーク関連の求人サイトに掲載されます。

応募するために必要なものは

応募に必要なもの
  • ハローワークの紹介状…ハローワークで発行
  • 会計年度任用職員応募用紙…応募ホームページでダウンロード
  • 履歴書
  • 保育士証

これが基本です。

『会計年度職員応募用紙』は3つの方法で手に入ります。

  • 自治体のホームページからPDFで印刷
  • 自治体のホームページでWord編集したものを印刷
  • ハローワークで印刷してもらう

分からないことはハローワークで聞くのが一番早いですよ!

まとめ

『会計年度任用職員制度』は令和2年に始まったばかり。働いている人もまだよく分からないことがたくさんあります。

分かりにくい採用制度ですが、今後少しずつ問題点が議論され変化していくのではないでしょうか。

今後の動向に注目したいですね。

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