【まともな人から辞めていく】保育園の特徴と辞める理由の本音とたて前

まともな人から辞めていく保育園には共通する特徴があります。そして退職理由が本音ではないことも意外に多いケースです。

家庭の事情で辞めたと聞いたけど、本当なのかな……。
私はこのままここにいていいのかな?

あなたにとってまともな人とは、自分の価値観に近い人ではないですか?そんな人が次々辞めていくと不安になりますね。

どうしてまともな人から辞めていくのでしょうか。
まともな人が何を考え、どう行動しているのか、今の保育園で働き続けるにはどうしたらいいのか。

国試で保育士になり、5か所の保育園でまともな人、優秀な人ほど短期間で辞めていくのを見てきました。私なりにその理由と原因、心の持ちようを分析しました。

この記事を読むと、あなたの取るべき行動がわかります。

まともな人から辞めていく保育園の特徴

まともな人から辞めていくのは保育園に限らずよく見られる現象ですが、業界によってその理由は少しずつ違います。
まともな人から辞めていく保育園には次の3つの特徴が見られます。

  1. 労働環境に問題がある
  2. 将来性が無い…目標になる上司・先輩保育士がいない
  3. 評価基準がおかしい

1.労働環境に問題がある

保育園に限らず労働者には法律で定められた権利があります。しかし、なかには法律を無視した独自のルールで職員を縛る保育園があります。

  • サービス残業や持ち帰り仕事は当たり前
  • 有給休暇を取るのは無責任だと取らせない
  • おもちゃや絵本は自腹
  • 毎月のように始末書を書かせる
  • 週6日以上の連勤が日常茶飯事
  • 夏季休暇は無い
  • 退職はさせない
  • 欠勤したら賠償金を請求する
  • 事前説明もなく給与が下げられる

これらはすべて私が実際に在籍した保育園で行われていた内容です。

一番ひどかったブラック保育園では、法律より保育園の就業規則が優先し、就業規則の内容を都合よく曲解して一般常識からかけ離れた運営をしていました。

ブラック保育園では職員がみんな奴隷のよう!
実母の葬儀の日でさえ式の始まる時間まで仕事をさせられた人もいました。

2.将来性が無い…目標になる上司・先輩保育士がいない

より良い保育を目指すために、現場では日々意見交換をして環境改善に努めています。
しかし、どんなに問題意識を持っていても園長が職員の意見に耳を貸さないワンマンなら意見を口にする人はいなくなります。
一方的に自分のやり方を押し付ける先輩しかいない職場も同じ。これでは保育の向上も学びもありません。そんな保育園では頑張っても無駄だと知り、よりよい保育を目指さなくなります。

園長が威圧的なら園長の機嫌をとることに神経をつかい、できるだけ余計なことを考えずに過ごす日々になります。
そのため、仕事をしない人も増えてきて、保育の中身がスカスカになってしまうことも。

逆に園長の指導力が弱く、発言力の強い問題のある保育士をコントロールできないなら、職員間のトラブルを見て見ぬふりするか強い者に同調するので、職場の人間関係は悪くなる一方です。

園長や先輩にひとりも素敵な人がいなかったら…。自分がどう成長していくのか見失ってしまいます……。

3.評価基準がおかしい

ひとりひとりの契約内容が違うことは良くあります。

しかし、明らかに園長のお気に入りが優遇されていることってありますよね。

  • 園長と仲の良い人だけ遅番はやらない
  • 入社まもない先生にお給料で抜かされる
  • いつも事務室にこもって保育をしない人がリーダーになる

優遇される人の基準は園長と仲良し。
ただそれだけで仕事の出来ない人が上のポジションについてしまうと、クラス運営がうまくいかなくなるんですよ…。
納得の出来ない人事やシフト、昇給が日常茶飯事ではやっていられないです。

頑張っても評価されないとやる気を失って、その日をやり過ごすだけの毎日になってしまいますね。

まともな人が辞める理由

あなたがまともだなと思う人が辞めていくとき、多くは家庭の事情など仕方のない理由が大半です。
でも本音ではどうでしょうか?

学びのない保育園で働くのは時間の無駄

より良い保育を目指すため、日々の気づきを職員間で共有し意見交換がしたい。
でも意見が出ても聞く耳を持たないどころか、嫌がらせをする上司もいます。

これではだれも意見を言わなくなりますね。

現場では問題がはっきりしているのに上からの圧力で改善することさえできない。何も学べず成長にもなりません。もちろん子どもたちのためにもなりません。

人生は有限です。成長のない職場に長くいるのは時間のムダですね。

環境に染まってしまうのはイヤ

目の前で共感できない保育環境や子どもへの接し方が繰り広げられていたら、あなたはどうしますか?
イヤだなと思っても、相手が先輩や上司なら意見をするのは難しいですね。

勇気を出して意見しても、相手は否定されたととらえて気を悪くするだけで改善は期待できません。それどころか、あなたに対する風当たりが強くなることも。
かといって黙って我慢しているうちに、人はその環境になれてしまいます。

見ていられない状況に胸を痛めながらも、いつのまにか慣れてしまう。
そんな自分に危機感を覚える人もいます。

まともな人が水面下でしていること

水面下

まともな人が水面下でしていることは次の3つ。
まともな人は疑問を感じたときから冷静に状況を分析し行動を開始しています。

  1. 日頃から情報収集している
  2. 保育園の外の人に相談している
  3. 円満退職をねらっている

1.日頃から情報収集している

目の前で繰り広げられている保育、労働環境に疑問を覚えたときから、まともな人は情報収集を始めています。

  • この保育は正しいのか
  • 安全環境はこれでいいのか
  • 自分に合った保育園はないか
  • 労働基準法ではどう規定されているのか

自分が感じている疑問、違和感はどこからくるのか、自分の考えはあっているのか間違っているのかも情報収集をすることで見えてきます。

2.保育園の外の人に相談している

保育園は閉じた世界です。保育園の間でも一方で常識とされていることが他方では非常識と言われることも珍しくありません。

複数の保育園に勤務した経験があれば、おかしいと思う保育をしている場面に出会うことは多いですよね。

まともな人は自分の違和感を放置しません。

相談するときは同じ保育園で働く人ではダメです。

今いる保育園の外の人に相談しましょう。他の保育園や保育経験者、異業種、労働基準監督署の相談窓口でもいいです。

まともな人は広い視野を持って判断しています。

3.円満退職をねらっている

退職すると決めたとき、一番いいのは自分にとって有利な辞め方をすることです。

辞めると伝えたことで退職希望を聞いてくれない、必要書類を出してくれないなどの嫌がらせを受ける可能性があるからです。

まともな人は本音ではなくたて前の理由で辞めることが多いです。
前向きで納得のいく理由がベスト。けして保育園や園長に対して不満や批判を言いません。

まともな人ほど自分に不利になる理由は隠して辞めているのですね。

退職理由は本音を言う?

本音を言って自分が不利にならないなら大丈夫。でも不利になる理由なら本音を言わない方が良いでしょう。

出来るだけ当たり障りのない、でも仕方ないよねと思われるような理由を選びます。

不満があるならハッキリ言った方が職場の改善になるんじゃない?

本当でしょうか…。

退職理由に本音を言うメリット

職場の不満を正直に伝えることでプラスになる要素を考えてみました。

職場の不満を退職理由にするメリット
  • 園長が反省してくれる
  • 問題のある職員に注意をしてくれる
  • 悪いシステムを改善してくれる
  • お給料を上げてくれる
  • 言いたいことを言ってスッキリする

今から辞めようというあなたにとってプラスになる事といったら、最後の「言いたいことを言ってスッキリする」だけではないですか?

後に残る職員のためになる事があるかもしれませんが、退職理由と称して問題点を指摘して、それで本当に改善する可能性は低いと思います。

退職時に提案したくらいで改善するなら、もっと前に変われたような……。

退職理由に本音を言うデメリット

もし本音を言ったらどんな問題が起きるか想像してみましょう。

職場の不満を退職理由にするデメリット
  • 園長との関係が悪化する
  • 退職に伴って嫌がらせを受ける
  • 転職に不利になる可能性がある
  • 周りの人を動揺させ人間関係がぎくしゃくする
  • 必ずしもみんなが同じ意見ではない

保育園の良くないところ、できていないところを伝えるということは、今の経営・運営に対してNOを突き付けることです。最初から意見を聞いてくれる環境があるなら、辞めるという決断にはなっていないでしょう。

今ここでその本音を伝えても、事態が改善することはほとんど期待できません。
さらに、否定された園長にとっては面白くないことです。ひどい保育園では退職にい伴って嫌がらせをするところがあります。

  • 有給をとらせない
  • 必要書類をなかなか送ってくれない
  • 在職証明書を発行しない
  • 協業避止義務に関する誓約書を書かせる*1
  • 処遇改善などの手当てを支給しない

色々な理屈をつけて最後の嫌がらせをしてくる保育園があるので注意が必要です。

*1 協業避止義務

退職後3年間は近隣で保育業務に就くことを禁止する規則です。これを破ると違約金を請求するというもの。ただし、通常の保育士業務であればほとんどの場合該当しません。このような圧力をかけてくる保育園も実際にありました。

まともな人は本音を言わない

まともな人は言いたいことを言ってスッキリすることと引き換えに、自分を不利な状況に追い込んでしまう。
そんな無駄なことはしません。

問題点を指摘して残る職員のために改善してもらうのも、ほとんど期待できませんね。期待できるのであればこれまでに改善するチャンスはいくらでもあったのではないでしょうか。

まともな人ほど家庭の事情や勤務形態など、しかたがないと思われるような無難な理由で辞めていく。

無駄な争いをせず、できるだけ有利な条件で退職するための賢い選択なのです。

退職理由で建前を言う人はどれくらいいるの?

本音とたて前

次のデータは業種を絞らず退職する時の理由についてのアンケート結果です。
【『エン転職』の会員に対するアンケート結果を元にしています/アンケート手法:WEBアンケート/アンケート期間:2016年1月9日~1月15日 有効回答数1515名】

退職理由は本音?たて前?
  • 本音…53%
  • たて前…47%

たて前の理由で退職する人の割合

退職者の47%が「たて前の理由」で退職しています。
これは保育士限定ではありませんが、半分近くの人が本音を言っていないことになります。

「去る」と決めた職場で不要な揉め事をおこさないために、そしてスムーズに次へ進むための賢明な手段ではないでしょうか。

たて前の退職理由例

たて前の理由で退職する場合は、納得できる理由や前向きな理由、保育園には関与できない理由が良いです。勤務形態を変えるだけで解決するような理由だけでは、引き止められてしまうかもしれません。

家庭の事情を理由にする

実際に働き始めてから家庭環境が変わったり、思った以上に家族に負担をかけていたりということは良くあります。

  • 最初は大丈夫だと思っていたけど問題がおきた
  • 家族の負担が大きかった
  • 家族から反対された・お願いされた
  • 介護が必要になった

転職をする人だけでなく、しばらく家庭に専念するという人もいるでしょう。

仕事より家庭・家族を優先したいという理由は引き留めの難しい理由です。

家庭の事情は、主婦ならいろいろ理由が出てきそうですね。

体調を壊したことを理由にする

アンケート結果のなかで退職理由として体調不良と伝えたのは18%ですが、実際に体調不良だった人はなんと1%。

【『エン転職』の会員に対するアンケート結果

診断書が必要なケースでも、心の病や更年期が理由のときは診断書が出やすいです。
体調を整えたいから一度保育の現場から離れてゆっくり直したい、といえば無理に引き止めるのは難しいでしょう。

他の保育園でチャレンジしたいことを理由にする

前向きな理由ですが、今の保育園ではかなえられない内容でなければいけません。

  • 大規模(小規模)の保育園で経験を積みたい
  • 園庭のある保育園で働きたい
  • 地域交流の盛んな保育園で働きたい

他にも、認定こども園、院内保育、病児保育などの特徴ある保育施設で働く経験を積みたいというのもあります。
ベビーシッターのような個人に寄り添う形での保育に携わりたいという希望もあるでしょう。

なぜ就職した当初から希望が変わったのか、その理由も考えておきましょう。

収入を増やしたい

家庭の事情でもう少し収入を上げる必要があるというのはよくあること。

今より高い収入が得られる転職先が決まっているならいいですが、決まっていないなら異業種も含めて考えているということでいいでしょう。

言わない方が良い退職理由

言わない方が良いのは上司への不満です。

退職、転職に向けて嫌がらせを受ける可能性があるからです。
不利な条件をだされ、残りの勤務期間も居心地の悪いものになるでしょう。正直なのが必ずしも良いことではありません。

出来るだけ自分に有利になるような理由にしましょうね。

まともな人が辞めていく保育園で働き続けるときの注意点

保育士と園児

まともな人が次々辞めていくと不安になり、自分も早く辞めた方が良いのでは?と思うこともあります。

しかし、その保育園に「残る」ことを選択するのも一つの方法です。
もし残ることを選んだなら。今あなたが感じている疑問や違和感をうやむやにしないようにしましょう。
そして、少しでも快適に働けるよう工夫してください。

疑問に思う環境に自分が染まらない

今働いている保育園のどこに違和感を抱いているのか、何に疑問を持っているのかを明確にします。

  • 園長や職員の子どもへの接し方が間違っているように感じる。
  • 保育園のルールがおかしいと思う。
  • 自分の目指す保育と違う

いつのまにか今の環境に慣れて違和感を抱かなくなってしまわないように気をつけてください。

経営方針は変わらないことを知る

園長や経営者のやり方を変えることは出来ません。
園長や経営者に改善する意思があったら今の環境は違っていたでしょう。

職員の意見を聞き入れず自分が正しいと信じている上司は、意見を言われることで避難された、否定されたと受け取ります。この時点で改善する希望はありません。
改善しないだけでなく、関係性が悪化して今までより働きにくくなるかもしれません。

無駄な争いはしない

園長や先輩のやり方がおかしいからと声をあげ、戦うのはおすすめしません。人の話を聞き入れることが出来る人たちなら、問題になってはいないからです。

まともな人が次々辞めていくような保育園に改善は期待出来ません。

働き続けるためには無駄な争いをして傷つくより、妥協点を見つけて少しでも心穏やかに過ごす工夫をしましょう。

今の環境で出来ることを探す

まともな人がどんどん辞めていくなか、残る職員でさらに保育環境が悪化することがあります。

「このままでは子どものためにならない…。」そんなふうに落ち込むことがあるかもしれません。

どうしても今の保育園で出来ないことなら仕方ありません。辞めるしかないでしょう。

しかし、せめて自分がじかに接する子どもには愛情をもって接したい。安心して平和に過ごさせたい。そんな接し方もできるのです。

 迷ったら保育士になろうと決めた時を思い出す

まともな人から辞めていく保育園についてお話ししました。

【まともな人が次々に辞めていく保育園の特徴】

  • 労働環境に問題がある
  • 将来性が無い
  • 評価基準がおかしい

【まともな人が辞める理由】

  • 学びのない保育園で働くのは時間の無駄
  • 環境に染まってしまうのがイヤ

【まともな人が水面下でしていること】

  • 日頃からの情報収集
  • 保育園の外の人に相談
  • 円満退職を狙っている

【退職理由】

  • 自分が不利にならないようたて前の理由を言うこともある

まともな人が辞めていくなか、自分がどうしたらいいのか分からなくなることもあります。

何が正しくて何が間違っているのかも分からなくなってしまった。そんな時はあなたが保育士になろうと思った時の気持ちを思い出してください。
初心にかえることで、自分がどんな保育をしたかったのかが分かります。

自分がどんな保育を目指していたのかを思い出したら、あなたに必要な行動はおのずと見えてきます。

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